鍛治本今日は『トルネイド/北条雷太の終わらない旅』を主題にして、3人で座談会を収録することになっているのですが、外が生憎の嵐で、 すごい音がしていますが。(我々の声は)聞こえていますでしょうか。
雷の音
林大丈夫でしょうか。聞こえていますか?
鍛治本トルネードということでね。
林そうですよ!
成井偶然だよ、偶然!(笑)
林呼び寄せたんじゃないですか(笑)
鍛治本まず成井さんにお訊きしたいのですが、この40周年記念公演に『トルネイド』を上演しようと思った理由を教えていただいても良いでしょうか。
成井40周年の今年は、 夏に第一弾、冬に第二弾とやるわけですけれども、 夏の第一弾は、40年やってきた中で自分で一番好きな脚本、それから一番新しい脚本(新作)の二本立てにしました。第二弾は、一番好きな主人公の脚本をやろう、と。「北条雷太」が好きなんですよ。
鍛治本おー。
成井それでこの脚本を選んだんですが、そもそもは『レインディア・エクスプレス』という作品で、再演の時に書き直しをして『彗星はいつも一人』というタイトルに変更しました。今回も大幅に書き直しをしようと思って、タイトルを『トルネイド』に変えたのですが、実際はあんまり書き直しをしませんでした。
鍛治本・林(笑)
成井大幅改訂にはなっていませんが、ブラッシュアップはしていまして、これを「北条雷太」の決定版にしたいと思っています!!
鍛治本先ほどの取材でも「北条雷太が最愛の主人公」と話されていて、驚きました。初耳だったんですが、「北条雷太」のどういうところが、お好きなんでしょうか。
林気になりますよね!
成井ネタバレになってしまうから、設定があまり話せませんが、すごく誠実で、不器用な性格ですかね。
轟く雷鳴
成井うわ、雷だ!…愚直という言葉が合うと思いますが、そのまっすぐなところが私は好きです。
鍛治本それって、初演の『レインディア・エクスプレス』を書いている最中に感じたのか、それとも上演してみて思ったのでしょうか。
成井上演してみてだね。やっぱりね、西川浩幸の「雷太」と坂口理恵の「ナオ」の回想シーンが、もう大好きで。それでですね。
鍛治本僕は今回改訂するんだって聞いて、書き直すんだって驚いたんですけど。
林私もそのままやるのかと思っていました。
成井なにしろ二十何年空いていることもあるし。当初は(大幅に)書き直そうと思っていました。
鍛治本僕らは稽古に先駆けて(新しい脚本を)読ませてもらったんですけど、変わってるところは変わっていて。素敵な変わり方をしているなと。
林そうですよね。あれ、とても好きでした(笑)
成井あれってなんだよ?
林あそこですよね(笑)ネタバレになっちゃうので、多くは語れませんが。
鍛治本劇団員の中でも『レインディア・エクスプレス』の上演形態が好きだという方が多いです。
成井それって三浦剛じゃない?石原善暢じゃない?
鍛治本石原さんかなぁ。
成井この二人はいまだに『レインディア・エクスプレス』が一番だと言ってくれます。入団前に観ていて、オープニングの群唱(大勢の人が同じセリフを同時に発する表現方法)が大好きだって。
林ものすごく思い入れがあるって仰ってました。
鍛治本それに近い改訂というか。
成井そうそう、再演の時には語り手を一人にしちゃったんだけど、それを元に戻しました。
鍛治本それが素敵だなぁっと思って。
林そうですよね。
鍛治本キャスティングのこともお訊きしたいんですけど、これはいろんな組み合わせも考えたりされたんですか。
成井それはそうですね。
鍛治本貴ちゃん、気になるところはありますか?
林いただいた台本にまだ役名しか書かれていなくて。
鍛治本そうそう、まだ僕らも(配役を)知らなくて。
林出演するメンバーは知っているので、この役は誰かなぁ、と想像しながら読みました。果たしてそれが合っているのか(笑)
鍛治本僕は一緒に不老不死となる「陣八」と「騎一郎」が気になります。これは誰が?
成井「陣八」は関根翔太。「騎一郎」は田中のぶとと安田(一基)のダブル。
林それは面白いですよね。全然違う二人だから。
鍛治本面白い違いがでるんじゃないでしょうか。では三人組ではなく、四人組ですね。
成井そうそう。
鍛治本四人で不老不死になる。(林に)気になるところはありますか。
林私は、親子ですかね。「大地」とお父さんのところの。
成井あぁ、「佐々木」ね。「佐々木」は三浦剛で、「大地」は齋藤雄大。
鍛治本「大地」って、僕の中では畑中さんのイメージが強くて。
林すごくわかります。印象に残ってます。
成井そうだよねえ。あれはハマっていたし、畑中はあの役で開眼したと僕は思っています。
林へーーー
鍛治本今回取材受けるにあたって、(『彗星はいつも一人』の)映像を見たんですけど、畑中さん、いい芝居してるな、って思いましたよ(笑)
一同爆笑
鍛治本すごい、真っ直ぐな。
林(激しく同意)ねえ。
鍛治本でも今回はフレッシュな齋藤くんになりました。齋藤くんのイメージとも少し違うような。
成井畑中を「大地」にしたら開眼したじゃないですか。だから今度は齋藤に開眼して欲しくて。こういう男っぽい役、真っ直ぐな役って齋藤はやったことないから。
林おーーー。
鍛治本あとは皆さんが気になるところで言うと、柳生先輩。
林そうそう、そこそうですよね、すごく印象に残ってます。
成井あれはね、篠田剛がやった「柳生先輩」は、本来、合っていないんですよ。高校生のはずなのに、どこからどう見てもおっさんだったじゃないですか。あれはミスマッチの面白さを狙っていて、今回はちゃんと「柳生先輩」に合った人ということで、辻合(直澄)にやってもらいます。
林おぉ!!
成井これは合っているはず。
鍛治本本人はプレッシャーに感じていると思いますけどね。ちゃんと高校生に見える人にやってもらうということで。
林ねえ(笑)
鍛治本あとはダブルキャストがベテラン勢で組まれています。
林伊藤さんと石川さんがダブルキャストになっています。
成井そうです。初演で岡田さつきがやってくれた「鳥居洋子」という教頭先生が、伊藤さんと石川さんのダブルになります。岡田さつきは別の役、「村越浜子」という「大地」の伯母役になります。
鍛治本若手のダブルキャストは、
成井滝田(愛香)と早海(亜衣理)のダブルは、再演で実川がやった井沢菫という女子高生です。
鍛治本女子高生ですね。
林女子高生だ。
鍛治本まだ若い二人ですから。
林ねぇ〜。
鍛治本貴ちゃんも女子高生いけますよ。
林いやいやいや、私はもう制服は(笑)
鍛治本あとは日替わりゲストがありますが、これは今回だけのスペシャル仕様ですか。
成井そうです。お二人は日替わりゲストの役が出る方の台本を読んでいる?
鍛治本・林はい、読んでいます。
成井そうか、そうか。新潟と大阪はその人物は登場しません。
鍛治本それはどちらも観ないといけませんね!
林そうですねえ!
鍛治本日替わりゲストは、誰が出るかは発表されてますが、どんな役は、観てのお楽しみなんですかねぇ。
成井そうだね、中盤以降に登場します。70分経過したくらい。
林楽しみですねー。
鍛治本台本には恐ろしいことが書かれていまして。
林多分、同じこと思いました!あれですよね、星マークのとこじゃないですか。
鍛治本結構長く喋ったセリフの後に、星マークが合って、確か「それぞれの方にお任せします」と(笑)
林(笑)
鍛治本これは皆さん、一生懸命考えるだろうなと。
林どのエピソードもすごく気になる。むちゃくちゃ聞いてみたいです。
成井そうだよね。
鍛治本久々の左東さんもいますし。今から緊張していると思いますけど(笑)あとは、貴ちゃんの友人「酒井しずえ」役となる山本沙羅。
林そうです。とっても心強いです。
鍛治本ぐいぐい成長していますしね。そして、南澤さくら。
成井「朝倉ヒカリ」という「ナオ」の孫ですね。学校の先生をやっている。
鍛治本これもなんか、これまでのさくらちゃんとはちょっと違うというか。
林大人な感じがしますよね。
鍛治本挑戦になるんじゃないかなと思いますが、(成井に)そういう意味合いもありますか。
成井それはそうだね。なるべくみんなが挑戦になった方がいいだろうし、何よりも、鍛治本自身が大きな挑戦じゃないですか。
鍛治本そうですよ!ねぇ、190歳ですし・・・西川さんがやっていたってこともありますし。これはどうなるかまだわからないかと思っています。
成井アクションシーンもあるからね。
鍛治本そうですね、たくさんありますね!
林それから、「丹羽(和正)先生」は、
成井阿部丈二です。前回は、細見がやった役。
林(台本を読んでいた時の)想像の中では、丈二さんと三浦さんが逆のイメージでした。
鍛治本あー、僕もそうかもしれない。
成井きっとこれが合っています。
鍛治本丈二さんのことだから、いろいろ仕込んできそうです。
成井楽しい役だからね(笑)
鍛治本座組みのバランス的にも新鮮というか、なんだろ。あまりない組み合わせかなあ。
林わかります!すごく上の先輩までいますし、バランスがいい。
成井そりゃ40周年だからね。伊藤ひろみという40年目の人、石川さんも36年目? 古い人もいれば2、3年目の人もいる。これこそ40周年でしょ。
鍛治本そうですね、良い締めくくりに相応しい公演にしたいと思います。最後に一言ずつ、動画を見てくれている方にメッセージをお願いします。
林40周年の締めくくりの公演、しかもクリスマス公演ということで、気合いがとても入っています。誠心誠意頑張りたいと思っていますので、ぜひ劇場に足を運んでください。よろしくお願いします。
鍛治本えー、そうですね、本当に「北条雷太」は、成井さんも最愛の人物だと仰っていましたし、劇団員からも人気が高い登場人物なので、そのプレッシャーを背負って、皆さんの期待に応えられるように頑張りたいと思いますので、ぜひぜひ劇場にいらしてください。お待ちしています!よろしくお願いします。
成井とにかく、「北条雷太」が好きなんですけど、初演(『レインディア・エクスプレス』)も再演(『彗星はいつも一人』)も、なかなか自分としては「これだ!」という芝居になっていなかったのではと、いろんな不満や後悔が合ったんですよ。今度こそ、今度こそ、「北条雷太」のために、最高の物語を作りたいと考えて、タイトルも改めて、さあ書くぞ、となったらね、そんなに変わらなかったんですけど(笑)
でも、でもでも、やっぱりこれで決定版が作れると思います。出演者は、日替わりゲストを含めると、合計17人という半数近くの役者が登場します。ぜひ、たくさんの人に観てほしいです!お待ちしています!
鍛治本それでは、皆さん、劇場でお待ちしています!
三人ありがとうございました〜。